ウサギの体雑学(目)
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あごすりブログ
◎草食動物は、食物繊維を分解する消化酵素を持っていないため腸内細菌に頼って生きています。微生物は草食動物の胃や腸内に住み、植物を分解してアミノ酸や揮発性脂肪酸などの栄養素を生み出しています。これらの微生物が分解したものを吸収して栄養を摂取しています。
◎微生物が住む部屋は動物によって異なり、ウシの仲間では第一胃、ウマやウサギの仲間では大腸(盲腸や結腸など)がその部分に当たります。
また、微生物の働き(発酵)の位置の違いは、栄養吸収率にも大きな影響を与えます。
◎草食動物は、腸が長く、消化の滞在時間が長いという特徴もあります。
これは草の中の養分は肉に比べて少ないので、養分を腸で取り残しがないように時間をかけて吸収しなければならないためです。
草食動物の消化 | 肉食動物の消化 |
・上部が平たい歯で草をよく噛んですりつぶす。 | ・消化管の長さが短く、体調の3~5倍程度である。胃は比較的大きい。 |
・長い消化器官でゆっくり時間をかけて消化する。 | ・微生物を頼らず、自分の消化酵素で消化する。 |
・胃や腸内にセルロース(食物繊維)を分解できる微生物を宿らせている。 | ・肉類はタンパク質のため、ほとんどが腸で吸収される→便の量が減る |
◎胃の主な働きは、食物を消化する2つの作用があります。それは、胃の運動によって食物をさらに細かくノリ状にする働きと、食物を胃液で消化する働きです。
この2つに働きで、食物は個体と液体の中間のような状態となって「十二指腸」に運ばれます。
◎ウサギは嘔吐(吐く)ことができません。胃の形が深い袋状になっていることや、(✪ ω ✪)「噴門(ふんもん)」が狭いという特性によるものです。
◎(✪ ω ✪)「幽門(ゆうもん)」は鋭い鋭角で「十二指腸」によって圧迫されやすい構造になっています。また、毛球がガス、肝臓肥大などにより胃が拡張または圧迫されると、胃の中の食塊が停滞してしまいます。
(✪ ω ✪) 「噴門(ふんもん)」ってなに?
・「食道」と「胃」の境目の部分で、胃の入り口部分を指すんだよ。
胃液や胃の内容物が食道に逆流しないように「下部食道括約筋」というのが栓のような役割をしているんだ。
✪ ω ✪) じゃあ、「幽門(ゆうもん)」ってなんなの?
・「胃」の出口で、「十二指腸」につながる部分だよ。「幽門」は普段は閉っているんだけど、食べ物が消化されて「十二指腸」へ送られる時に門が開くんだよ。
いや~、体ってよくできているよね。
◎通常草食動物の「胃」や「腸」の✪ ω ✪)pHは中性でで胃酸の強さは肉食動物に比べて弱いのが特徴です。
しかし、大人のウサギ「胃」のpHは1~2と肉食動物と同じように強い酸性を持っています。そのため、病原性を持つ微生物の侵入と増殖を胃と腸で防いでくれています。
✪ ω ✪) 「胃酸」って、なんとなくは分かるんだけど・・・?
・「胃酸」は胃液の主成分で、胃壁から分泌されている塩酸なんだ。
そして、「pH」というのは、水溶液の酸性やアルカリ性の度合いを表す数値を0~14の範囲で表しているんだよ。
「pH」値が7を中性として、それよりも小さい場合は酸性、大きい場合はアルカリ性になるんだ。
◎「十二指腸」では✪ ω ✪) 「膵臓(すいぞう)」からの分泌液が胃の内部で酸性に傾いた内容物を中和します。
「小腸」は「十二指腸」と「空腸」、「回腸」からなっています。
◎ウサギの腸は特殊な構造をしています。「小腸」の末端部は筋肉性の袋のようなつくりになっており、「正円小嚢(しょうえんしょうのう)」と呼ばれています。
これは、ウサギ特有の器官で、繊維質を粗い繊維質と細かい繊維質に分離する役割を担っており、免疫細胞が集まっている部分でもあります。
◎消化不能な大きな繊維質は、「盲腸」を通過することなく直接「結腸」へ送られていきます。それ以外の物は、発酵のため「直腸」へ送られます。
✪ ω ✪) 「膵臓(すいぞう)」は胃の裏側にある細長い臓器で、消化液を分泌したりホルモンを分泌したりする役割をもっているよ。
◎ウサギの「盲腸」はとても大きく、消化管の約40%の容量があり、右腹腔の大半を占めています。
◎「盲腸」には腸内細菌であるバクテリアが生息しており、「正円小嚢(しょうえんしょうのう)」で分離された細かい繊維はそのバクテリアによって分解、発酵されタンパク質やビタミンB群(特にB12)が生成されます。
◎こうして、栄養豊富なものに変化した「盲腸」の内容物は、「大腸」を通って「肛門」から排出されます。これを「盲腸便」といい、排泄物でもウサギにとっては重要なエネルギー源になっています。
◎「大腸」は「結腸」と「直腸」からなっています。「結腸」は盲腸便と硬便の排泄を区分する役割を持っています。「小腸」からの消化不能な繊維質は分離、濃縮されて「硬便」として排泄されます。
◎ウサギの便にはコロコロと丸く硬い「硬便」と柔らかい「盲腸便」があります。
「盲腸便」は、2~3㎝程のブドウの房🍇のような形状をしています。
ウサギは「肛門」に口をつけて直接「盲腸便」を食べ、これを「食糞(しょくふん)」と呼びます。「盲腸便」はウサギの維持エネルギー量の12~40%をまかなっています。
◎ウサギの「硬便」はだいたい1㎝ほどで、色は緑がかった茶色や明るめの褐色です。繊維のカスなどで形成されており、匂いはありません。
※便の色や大きさ、量は食べているものの内容や量などによって個体差があります。
<健康チェックをしてみましょう>
◎おなかの調子が悪くなると、「下痢」や「軟便」、フンが出ないなどの症状が現れます。毎日、フンの排出量や大きさ、形のチェックをしてみましょう。
◎お腹が張っていたり、脇腹がへこんでいる時にはすぐに動物病院へ連れていきましょう。
◎また、肥満は万病のもとです。毎日触って指先に背骨を感じるのが標準体型の目安となります。
便の形 | 状態 |
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硬便(こうべん) | 丸くてコロコロとした便、正常な便 |
盲腸便 もうちょうべん | ブドウの房状の便、通常は肛門から直接食べる便 正常な便 |
いびつな形をした便 | 大小、大きさがまちまちな便、消化管に問題が起こると形がそろわないことがある。 |
軟便(なんべん) | 形はあっても、水分が多く含まれている便、盲腸便とは異なる。 |
つながった便 | 飲み込んだ被毛が多いと便が毛でつながることがある |
粘膜便 | 消化管の働きに異常があって、粘膜状、ゼリーのようになっている便 |
下痢便 (げりべん) | 形をなしていない水溶性の便、下痢便が出るのは異常事態で緊急事態。 |
ウサギの排便の状態については、毎日のトイレ掃除のときに確認してみようかな。年をとると自分で盲腸便を食べるのが大変になってきて、盲腸便が落ちていることもあるし、色々観察してみるとわかることがいっぱいあるよね~♪